突然のことに私は言葉を失い、呆然と立ち尽くしていた。



隣にいた悠人も、一瞬表情を固めたが、



意を決したように鞄をほっぽりだして走り出した。



はっとして私が気付いた時には、隣に悠人の姿はなかった。






「……待って!」



 まるで何かに取り付かれたかのように、体が勝手に悠人を追いかけていた。








電車が、すぐ目の前まで迫っているとも知らずに。