男性のあとに続くようにして、一人、また一人と線路の方へと歩きだす。




楽しそうに会話している主婦らしきおばさま方や、
 

スマホを見てはしゃぐ女子高生、


携帯電話を片手に、ペコペコと頭を下げる会社員もいる。






 ふと、視線を男性に戻してみる。








男性は、まっすぐに前を見ていた。





悲しげな、しかしどこか満足げな笑みを浮かべて。

 



男性が足を踏み出すとその体はふわりと浮き上がる。






 一瞬だった。







男性は、ホームから姿を消した。