ここだけの話、彼は私が片思い中の相手なのだが、告白なんてものは私の柄ではなく、彼とは一言も言葉を交わしたことはない。



私はしばらくの間、彼のことを見つめていたが、目が合いそうになり、慌てて逸らした。



「はやく告っちゃえばいいのにー」




いつの間にか隣に座っていた玲奈が、ニヤニヤと私の顔を覗き込む。




「別にー、興味ないし」




彼は容姿端麗、小柄ながらもスポーツ万能で、うちの高校のバスケ部ではエースを担っている。




女子たちに人気が高く、平凡な私が釣り合うような相手でないのは分かりきっていた。