悠人は、紺色の生地に白い金魚が泳いでいる甚平姿で待っていた。



「悠人! 早くいこう! お母さんもはやく!」



 私が急かしても、母はのんびりと言う。



「そんなに焦らなくても、お祭りは逃げないから……」



 私は、そんな母の言葉を最後まで聞かないうちに、悠人の手をとった。




「じゃあおばあちゃん、いってくる!」



「気をつけて行ってらっしゃいね」




 そう言って、祖母は笑顔で見送ってくれた。




 私は悠人と二人、手を繋いで走った。

 

後ろを振り返ると、私達を見て嬉しそうに会話しながら歩いている、私の母と悠人の母がいた。