お祭り当日。



 私はうきうきした気分で、祖母に浴衣を着せてもらっていた。



山吹色の生地に薄い桃色や紫色など、色とりどりの蝶が散りばめられた浴衣。



このお祭りのためにと、祖母が作ってくれたものだ。 



「良紗ー! 悠人くん来たよー」



 母の声がする。


どうやら悠人はもう準備を終えて、私を待っていたらしい。 



「悠人来たって! おばあちゃん、まだー?」



「ちょっと待ってね。あと少し……ほら、出来た」 



「やったー! 行ってくる!」



 私はそう言うやいなや、玄関に向けて全力ダッシュした。



あいにく母に「走るものじゃないよ」なんて言われたけれど、私はそんな言葉も耳に入らないくらい興奮していた。