人が死ぬ

あれはいつ頃の記憶だろう。


ちょうど妻とおなじくらい、ちょうど生まれたばかりの俺の娘とおなじくらいの血まみれの母子が、夫と思しき男性の腕にくるまれ、うずくまっていた。


あたりにはガレキが散乱している。日用品に混じったぬいぐるみが綿を吹いていた。


男性は怒りに震えた形相で、武装した俺に向ってきたから引き金を引いたんだ。男性は動かなくなった。


妻は夫の死を知る余裕もなくただ唄をうたっていて、しかしその声もすぐに途絶える。


赤ん坊はとっくに冷たくなっていた。