「ありゃ?怒っちゃった?」



なんて呑気に言葉を落とす依智佳。


どこから出てきたのか、手にはポッキーが握られている。



膝には中身が空っぽになったお弁当が袋に包まれ、ちょこんと置かれていた。



……そんな何気ない姿だって、綺麗に見えるのが心底羨ましい。




「怒って……なくはないけど、もういいよ」



あたしはそう言い残し、上靴の踵を引きずりながら教室をあとにした。






ほーんと……この身長、なんとかなんないのかな。



なんて、叶わぬ思いを胸の奥に秘めながら。