「あたしが思ってるような人じゃないのかもね……」


「……え?」




先に沈黙を破ったのは依智佳だった。


その声に反応して、あたしの視線はそちらに向く。




依智佳は空を仰いだまま、ポツリポツリと言葉を落とした。





「黒崎帝翔は……みんなが恐れるようなヤンキーだし、女遊び激しくて泣かされた女も多くて……千咲的に言うと怖い人、だしね……。
正直嫌なヤツって思ってた。千咲には絶対似合わないって思ってた」


「…………」




そうだね。


あたしだってそうだった。




だけど、接してきて初めてわかったんだ。