教室に来られても、後ろから抱きつかれても、キスされたって……。



本当に拒んだことなんて無い。


本気で嫌だと思ったことも……無い。




あたしが本気で拒否したら、帝翔くんならきっとやめてくれるだろう。





なのに、なんであたしはそれをしないの?


なんで……できないの?





………どうして??



大きな疑問があたしを渦巻く。


グルグルと纏わりついて、離れてくれない。






「依智佳……あたし、やだ……」


「え?」


「こんな自分、嫌。わかんないよ……」




「自分自身が……」そうつけたした後、あたしの目からは自然と涙が零れ落ちた。



依智佳はそんなあたしを無言で支え、やっとまわりの視線を気にしたのか屋上へとあたしを運んだ。