お礼を言うだけなのに何緊張してんだろ。


声が震えていたので、余計に聞こえにくかったと思う。



しかし、しっかり聞こえたようで少しビックリした様子であたしを見据えた黒崎帝翔。





そして初めて、意地悪じゃない自然な笑顔を見せた。





見たことも無い顔に、瞳に、あたしの胸はトクンと波打つ。


大きく映った夕日をバックに、その顔はますます輝いて見えた。





一瞬、一瞬だけだけど。


カッコいい……




そう、思ってしまったんだ。










……おかしい。


こんな男にときめくなんて。





ヤンキーなんだよ?


女タラシなんだよ?



キス魔でエロくて、怖い人。


あたしが大嫌いな。






なのに……なのに――……。