何も言えずに黙り込むあたしを数秒見つめ、黒崎帝翔は胸倉を掴んでいた手をスッと離した。





「……別にお前がいいって言うんならいいけど」


「えっ……」




予想外の行動・発言に、あたしは驚きを隠せない。


黒崎帝翔はポカンと口の開いたあたしの手を掴み、スクッと立ち上がった。






「お前も殴りたいとこだけど……」



そう言って呆然と立ち尽くしていたもう一人の男を一睨み。


そのまま言葉を続けた。




「二度とこいつに手ぇ出すんじゃねぇぞ?」


「――ッはいっ‼すみませんでした‼!」