キス魔なヤンキーくんの甘い罠

カツカツと足音を鳴らすあたしの後ろから、少し引きずるような足音が続く。



「そんなに急ぐなよ。ゆっくり行こうぜ」


「お断りします‼ついてこないでくださいっ‼」


「なんでいきなり敬語なんだよ」




後ろから聞こえてくるその声にあたしはくるっと振り返り一喝入れ、再び前を向いて歩き出す。



後ろからの声は耐えることなく聞こえ続けたけど、あたしはそのままさらに足を速めて急いで電車に飛び乗った。


そしていつも同様シートに腰を下ろす。



キョロキョロとまわりを見渡したけれど、黒崎帝翔の影はどこにも無かった。