「……んー、ちょっと肌寒いけど……ま、いっか」
独り言を言いながら、あたしは雑草の上に腰を下ろした。
そっと背中を地につけると、さわやかに流れる雲に自然と目がいく。
そよそよと木々を揺らす春風はほんのり冷たさを帯びていて、時折優しくあたしの髪を救い上げる。
ふと横に視線を向けると、もうすでに黄色い蕾が開いている花。
その少し上を見上げると、今か今かと開花を待っているピンクの花。
さくら前線はまだ先らしく、小さな蕾を沢山つけていた。
「……綺麗」
フッと笑みを零し、あたしはゆっくり瞼を閉じた。
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