銀杏並木に佇むひと。
私は、彼からは見えないところで、座りながら。
静かに、歌う。
彼と、私だけが知っている。最初の、歌。
近くにいても、遠くても。きこえるはずのない歌を、彼は。
「ここにいるのか!?」
なぜ、感じることができたのか。
切ない声に、名前を呼ばれて、歌を、止めた。
彼のいる間は、歌い続けようと、決めていたのに。
彼の声が、夕日に金に染まる銀杏たちに負けないくらい。
私の胸を、差す。
震える手で、顔をおおう。
壊れそうなほど切実な声で、私の名を叫ぶあなたに。
姿を見せて、抱きしめることができたら、どんなに良いだろう。
でも。
彼の前に立っても、ふれようと手をのばしても。
彼は私に気づかない。
私は、ここに存在しないから。
もう、一年が経とうとしていて。
私は、きっと、来年はもうここにいられなくて。
たぶんもうすぐ、消えてしまう。
この葉っぱと同じくらい儚く。
ならせめて。
この声が、歌が、届くのなら。
道を分かちた私たち。
その道を祝うために。
私のほうへ、呼ばないために。
今はまだ、繁るような銀杏の、舞いきるまで。
すべて散りゆくまで。
歌い続けましょう。
あなただけのために。
そうして私は、再び唇を開いた。
私は、彼からは見えないところで、座りながら。
静かに、歌う。
彼と、私だけが知っている。最初の、歌。
近くにいても、遠くても。きこえるはずのない歌を、彼は。
「ここにいるのか!?」
なぜ、感じることができたのか。
切ない声に、名前を呼ばれて、歌を、止めた。
彼のいる間は、歌い続けようと、決めていたのに。
彼の声が、夕日に金に染まる銀杏たちに負けないくらい。
私の胸を、差す。
震える手で、顔をおおう。
壊れそうなほど切実な声で、私の名を叫ぶあなたに。
姿を見せて、抱きしめることができたら、どんなに良いだろう。
でも。
彼の前に立っても、ふれようと手をのばしても。
彼は私に気づかない。
私は、ここに存在しないから。
もう、一年が経とうとしていて。
私は、きっと、来年はもうここにいられなくて。
たぶんもうすぐ、消えてしまう。
この葉っぱと同じくらい儚く。
ならせめて。
この声が、歌が、届くのなら。
道を分かちた私たち。
その道を祝うために。
私のほうへ、呼ばないために。
今はまだ、繁るような銀杏の、舞いきるまで。
すべて散りゆくまで。
歌い続けましょう。
あなただけのために。
そうして私は、再び唇を開いた。
