中庭には誰も見当たらなかった。


やっぱり奏太くんは来なかったんだ。


こんなことなら何もせず、いつも通り春華と一緒にお昼を食べておけばよかった。


今から教室に戻っても、春華は他の子とお昼を食べている。


そこに入る勇気は私にはなかった。


「今日もぼっち弁当かぁ」


いつもと同じように、制服のブレザーのポケットから、iPhoneを取り出し、お弁当を食べながら、小説を読み始める。


「今日は……これ」


今日も私が選んだのは、恋愛物の小説だった。