「えーっと……」


どこかから声がしたのは間違いない。


でも、どこ?


「どちらさま、でしょうか……?」


どこにいるのか検討もつかないけれど、声をかけてみる。


すると、植え込みがガサガサッと鳴った。


「ひいっ」


乙女らしからぬ声が出たことを気にする余裕もなく、私は金縛りにあったかのように、動けなくなってしまった。