「……。」
そして放課後。
千鶴は腹立つ笑みを私に向けてさっさと帰って行った。
くそ…。
あの女本当にうざいな。
逃げやがって……。
そんなことを心の中でつぶやいているうちに、気付けば図書室についていた。
「うー…。」
いつも誰もいないのに、今日に限って人がいるはずがない…。
それでも期待してしまう私。
持っていたカギで扉を開け、私は中に入る。
あれ?
てかこの時点で私がカギあけてるんだから誰もいるわけないじゃん…。
バカなの…?
バカだよ…。
はぁ…。
深いため息をついてカウンターに座る。
その時だった。
ザーッ!!!
「な、なに?!」
パッと窓の方に視線を向ければ、外は土砂降りの雨が降っていた。
……なんだ雨か…。
てかこの雨じゃあしばらくは帰れないな……。
…………。
………………?
ちょ、ちょ、ちょっと待ってよ…。
これじゃあまるで千鶴のあの話しと同じ状況に遭遇してるじゃん…私…。
……………。
きょ、今日はもう帰っていいかな…?
借りる人どうせいないだろうし…。
返却して……
…………………
…でも本読みたいなぁ…。
でも怖いしな…。
でもこの本続きがあるからな…。
でもこの雨だしな…。
でもそうなると来週も……。
……………。
「借りよ……。」

