さまよう渡くん






「ち、千鶴さん…。」



チラッと上目遣いで千鶴を見ると、ニッコリと意味ありげな笑みを浮かべていた。



「私放課後、彼氏とデートなの。」



「ち、千鶴さん!」



「残念ねぇ。悪いけどあんたより私は彼氏をとるから。」



な、なんちゅう女だ…。



「ごめんね。放課後頑張ってねー。」



嫌味っぽいその言葉と同時に、昼休みの終わりを知らせるチャイムが鳴った。




「じゃ、私席着くからー。」





そう言ってヒラヒラっと片手を私に振ると、千鶴はそそくさと自分の席に座った。











………あんの…性悪女め………。




しばらく千鶴をにらんでいた私だけど、千鶴はそんな私の視線に気付くことはなかった。




む、か、つ、くーーーーー!!!!