ガラッ。
「森宮。」
「渡くん。」
ガラッ。
図書室の扉を閉めて、渡くんは私の方へ歩み寄ってくる。
「お疲れ様。」
「ありがとう。森宮もお疲れ。」
部活終わりの彼にそう言えば、彼は優しく微笑んで返してくれた。
「雨も弱まってきたし、帰ろう。」
「うん。」
短く返事をして、私は荷物をまとめる。
「本借りたか?」
「うん!ほらこれ!」
そう言って本を取り出して渡くんに見せた。
「これ面白いん」
ゴロゴロゴロー!!!!
「っ??!!!」
バサッ。
本が手から離れ、私は耳をおさえる。
「森宮!」
「うぅ…。雨なんか嫌いだ…。雷はもっと嫌いだ…。」
「はは。たく。腰抜けてるぞ?」
そう言ってうずくまる私を優しく抱きしめてくれる渡くん。
「わ、渡くん!」
「ん?どした?」
優しく頭を撫でてくれて、あの日以来のこのぬくもりに、私の胸はうるさいばかりだ。
「な、なんか…。
悪くないですね…。
雨も…雷も…。」
「え?」
あなたは気付いてないのですか?
あなたに抱きしめられると、
とても嬉しいんですよ…。
だから苦手な雨と雷も…
ちょっといいなぁなんて…
思ってしまう……。

