さまよう渡くん






「で?どうですか?吊り橋効果から始まった恋は。」



あの一件以来、私と渡くんはお付き合いをすることになったのだ。



「っ!な、なんだっていいでしょ…?別に吊り橋効果じゃないし!」



「ほう。その心は?」



「よ、よく思い出したらあの時……」











『大丈夫だから。そんな震えんな。ゆっくり深呼吸しろ。俺がいるから。』




「…っなこと言われたら誰だって落ちるわ…。」




あんな男の人に触れられて…、ましてや優しくされたのなんて初めてだもん…。




「だって。良かったわね、渡くん。」




「え?!」



パッと顔を上げれば、そこには少し頬を赤く染めた渡くんが立っていた。



「わたり…くっ…」



「な、なんだ…。吊り橋効果じゃなかったんだ…。」




「き、聞いてたの?!!」




「うん…。なんかごめん…。色々と初めてを俺が…」




っな?!



私もしかして声にでてた?!



「で、でも…俺すげー嬉しい…。」



ドキンッ…。



少し照れくさそうに笑う渡くんに、私の胸は大きく高鳴った。




ああ…



もう……




「好きだな…。」




「え?!」





「バカップルめ……。」




そんな千鶴の言葉さえも耳に入らないほど、私は渡くんを好きになってしまいました。