さまよう渡くん






あれ……………。



これってまさか………?




「本当に、ごめん。せこい事して好きになってもらおうなんて…ダメだよな。」




………………。





「俺、頑張るから…。森宮に振り向いてもらえるように。だから、返事はまだ出さないでほしい…。」




「あ…の、渡くん…。」



ど、どうしよう…。



「ん?」




これって…………




まさか…




「森宮?」



ゆっくり視線を渡くんの方へと向ければ、彼は優しい眼差しで私を見ていた。



「…っ……。」



そんな彼の姿にさえも胸が高鳴ってしまう。



これって完全に……




「吊り橋効果……成功しちゃったかも……?です……。」




「え?!」




なんだろうこの胸のドキドキ…。



顔が熱くなる…。




「あの…ね…」




渡くんの顔が見れない…。








「私…渡くんのこと…」





でも伝えたい…。



伝えたいよ……。









「好き…かもしれない…です…。」







         END