すると彼はまわりをキョロキョロして、誰もいないのを確認すると私に声をかけた。

「ねえ」

「ん?」

彼の方を向いた時にはもう顔が目の前にあって、甘い声でこう囁いたのだ。

「…キスしていー?」

問われた私は見つめられる目に吸い込まれるように目を閉じて、彼と唇を合わせた。

唇を離した瞬間にとんでもない羞恥が込み上げてくる。

それは彼も同じらしくて、みるみる顔が赤くなっていった。


結局その後は咲奈と幹太と合流するまではお互いに意識しあって、なにも喋れなかった。


でも繋がれた手はそのままで、咲奈も幹太もニヤニヤしながら私達の事を見ていた。すごく恥ずかしかったけど、繋がれた手は決して離れなくて彼の隣は居心地がよかった。