一方、こちらが出身のオオカミさん。
 彼の実家は、新居から小一時間ほどの距離にある。
 
 初めてお会いする彼の家族に、私はガチガチに緊張していたのだが…

 こちらはもう大歓迎で、揃って私をお出迎えしてくれた。


「いっやあ、コイツにこんな可愛いお嬢さんが来てくれるなんてねえ」
「やめろっ」

 照れ顔の父親に頭をバシバシ叩かれてて、彼は子供みたいに反抗した。

「ホントに」

 おっとりした印象の彼の母親は、ちょっと寂しそうな顔をして、そっと目尻を押さえている。

 ニコニコと愛想笑いしながら、心の奥で、私は少なからず驚いていた。

 なんて普通の、なんて善良な人逹なんだろう。
 この両親から何故、このモンスターが誕生したのか、全く分からない!


 と、未婚だという彼の姉・夏子さんが、スススと私に寄ってきた。

(あのね、トーコちゃん。
 コイツ、スッゴいヤらしいからね、気をつけた方がいいよ。
 何せ中学の頃…)

「だ、黙れっ、ブス。余計な事言うな!』

 気付いた彼は、父親のヘッドロックから逃れると、物凄い剣幕で私を彼女から引き剥がした。

 一体何をやったんだろう。


『いつでも遊びにおいで~~』

 昼食にご馳走して頂いた後。
 ニコニコと手を振っている家族の好意の言葉をよそに、彼は大急ぎで私を連れ去った…