【⑤おまけ】オオカミさんの新婚事情 上司とイキナリ結婚したら。

 顎の下に、長い人差し指がそっと掛かり、ゆっくりと確実に、唇が押し当てられた。

 甘く切なく変わってゆく吐息を確認し、焦らすように浅く、舌を絡める。

「ふ…ぁあ…」

 深く入ってくるのかと思いきや、彼はすんなりと唇を離した。  
 固く閉じていた瞳をそっと開くと、


「アキト、だ」

「アキ…?」

「名前。…呼んで、アキト」

「オオカミ…さん?」

「ダーメ」

 チュッと唇を吸う。

 もしかして、甘えてる?


「あ…アキト…さん?」

「そう。良くできました、御褒美だ」

「ん…」

 唇が重なると同時に、、背中に手が回された。 
 
 キスしたまま、覆い被さりながら絨毯の上にそっと私を横たえる。

 思うままに口腔内を擽りながら、接合を深くしてゆく彼に、やがて自ら唇を欲しがるようになるまでに、そう時間はかからなかった。
 

 やだ、オオカミさんってば
 八重歯、尖ってる…

 フフッ、ホントにオオカミさんみたいだ。

 
 蕩けていく頭の隅でふと下らない事を考えて_____

 口の端に、笑みが溢れた。