その後は、教会の近くにある外資系ホテルでの披露宴に皆で向かった。

 私達の記念であることはモチロンだが。
 出世に意欲のある彼の場合、披露宴は顔と名前を覚えてもらう機会(チャンス)という側面もある。

 オオカミさんは、取引先や会社の重役、銀行役員など来賓客への挨拶に忙しい。

 それとは一線を画し、私は次々と訪れる杯を受け、時には祝福の列に紛れ、武器を隠し持った闖入者の攻撃を避けながら、懐かしい友人達との時間を楽しんでいた。

 そして…

「やあ、トーコちゃん」
「熊野さん!」

 熊野さんはオオカミさんの同期で、職場の先輩。
 たった2か月間だったけど、私が直近で付き合ったヒトで…

 最終的には、オオカミさんと私のキューピッドとなってくれたヒトでもある。
 話は尽きない。
 私は時を忘れて話し込んでいた。

 と、熊野さんは驚くべき告解をした。

「実はな…会社、変わろうと思ってる」