いちごキャンディ


「…〜っ、せ、…先輩の、ばかぁぁ…っ」

「あは、ごめんごめん」

「…先輩のえっち…そんな先輩は嫌いです…」

「ええ…でも…涙は無くなったでしょう?」

(まさか…今までのは、私を笑顔にさせる為に…?……)

「…そ、それは…ありがとう…ございます…」

「うん、もっかいして欲しい?」

「!?」

「冗談冗談、大丈夫。耳には、しないから」

にや、と悪戯っぽく先輩が笑うのも見ずに、私は言葉を続けてしまう。

「良かったです…やっぱり、先輩の事、嫌いじゃないです…」

少し安心して思わず笑顔で見つめる。

「…っ、そ、そっか…」

「はいっ!」

何故か先輩は赤面して顔を逸らしてしまい、はてなマークを頭に浮かべながら首を傾げる。

「…帰ろっか」

「はい!」

夕暮れの空の下。

頬を染めた2人の男女は、手を繋ぎながら笑顔で辿々しく言葉を紡いでいる。