「ありがとう…」


わたしの小さな声が、離れていった彼に届いていたかは分からないけど、届いていればいいなとは思った。



勇気を出して、みんながいる場所に戻り向き合うことに決めた。


逃げるのは、やめよう。



「みんな…ごめんっ!

わたしがミス連続したせいで負けたことは確かだと思うし、負けた原因のやつが泣くのはムカつくと思う。でも、わたしはわたしなりに頑張った……です。だから……っ」

最後、変な日本語になちゃったし、変な汗出てきたし……。怖い。


「天、もしかしてさっきのわたし達の話聞こえてた?」


「……あ、いや、き、聞いてない」


「嘘つくの下手すぎ。ごめん、天」


えっ、な、なんでみんなが謝るの?


「天だけがミスしたわけじゃないの分かってるのに、悔しい気持ちを抑えきれなかった。わたしだって、みんなだってミスを一本もしてないわけじゃないのに、天のせいにした。……ごめんね」


涙を堪えるのは、無理だった。


涙を流し、首を横に振るわたしを抱きしめてくれたのは、ペアの子だった。