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そしてその後授業も終わり
先輩とも挨拶して別れ

なんだかんだで全部の授業を受けて過ごした。










「一日って早いよね〜。
あ、祥一。私今日バイト入ってるから夜ご飯作ってあげられないや。」

「えー?!
そんなぁ〜!せっかく授業頑張ったのにー!」





正門へ向かう途中
隣で秦山小林カップルがそんな話をしながら一緒に歩いていた。




…逢沢先輩、あれから元気なかったなぁ…。





私は2限目の時の先輩の様子を気にしていた。


何か私、変なことでも言ったのかな…?

そう考えても
答えはもちろん出ないまま。






そんな風にして正門まで来れば…








「-----ユカリ。」








(っ…あ…!!)






「圭斗!!」







私は彼の姿を見つけ
たった今まで暗かった気持ちが
一気に吹き飛ぶ。







「あー!濱崎さん!」

「ん?おぉ!ホンマや濱崎さんや!」






そして私に続いて
圭斗に気づいた2人が、声をあげて一緒に駆け寄る。


高校の時は近寄りがたいとか言って
最初は近寄らなかった2人だけど

さっちゃんは相談をしてからすっかり懐いてるし

ハタは私の結婚式から何だか圭斗に心を許したっぽくて…




今じゃこんな感じです。









「おー、紗香ちゃんと秦山くんじゃん。
式ぶりだね。元気そうで何より。」

「こんにちは!
濱崎さんはお迎えですか?」

「そうだよ。」






そう言って寄っかかっていた車から体を立たせて
私を見る圭斗。







「濱崎さんって車乗れたんや。」

「そうそう!私も最近知った!」






さっちゃんとハタがそう言いながらはしゃいでいる間に

圭斗は私の荷物を取り上げる。

そして私を助手席に乗せて
2人に話しかける。






「2人も乗ってく?」






送ってくよ、と圭斗が言えば

ハタとさっちゃんは顔を見合わせてから





「いえ、大丈夫です。
お2人でごゆっくり!」






そう言ってさっちゃんがにっこり笑う。

ハタも微笑みながら
ペコっとお辞儀をする。



そして2人は私に手を振ると
駅の方へ歩いて行った。











「あの2人も大人になったな。」





---バタンッ!



と運転席のドアを閉めると
圭斗が私に言う。

1週間前に会ったばっかだけどね
と心の中で思いながら
私はふふっと笑った。








「…にしても…」









笑っている私に
不意に圭斗が、手を伸ばしてきた。




(っ…?!)






-------ドキッ!





そして私の頬に手を添え
優しく撫でながら

静かに私を見つめる。




な、何…?!








「…他の男の匂いがするな。」

「……はいっ?」







---なんて


何を言うかと思いきや
そんなことを突然言われて 私は目を丸くする。




他の男の匂い…?



でも私、さっきはハタくらいしか男の人と接してな…






(あ……そうだ、逢沢先輩!)







2限目で一緒だったから
圭斗がそんな風に思うのかな?



…にしても
彼の犬並の嗅覚にびっくりです。









「多分テニスサークルの先輩だよ。」

「サークル…?
また今日も誘われたわけ?」






私の言葉に
少し眉間にシワを寄せながら

圭斗が尋ねてくる。







「ううん。ただ2限目が一緒で
たまたま席が隣だったから。」





少しお話ししただけだよ。





と私が説明すれば

へぇ…と圭斗が無表情にも言って
私から手を離す。



そして車のエンジンをかけると
そのまま車を発進させた。






あれ…まだご機嫌ナナメ…かな??