そして次の日




私が大学に行くと
正門で待っていた2人が私を見つけ

1人が私を見つけるや否や
叫ぶように私に抱きついてきた。







「ユカリぃーーー!!
聞いてよ、昨日の新歓の悲劇!!」







そう言ってプンプン怒りながら叫ぶ女の子は

私の高校時代からの大親友、
小林紗香(コバヤシ サヤカ)ちゃんこと

さっちゃん。





高校の頃から成績優秀で
超絶美人ながらも

この通り肝の座った感じの
サバサバした性格から

男子からも一目置かれ
高嶺の花とされてきた女子。








「ひ、悲劇…?」

「せやねん!!
昨日の新歓で1年の女子がガンガン飲まされて
危うく紗香もお持ち帰りされかけたんやで!!?」







怒りながらも必死になって私に説明してくる彼は

これまた高校時代からの大親友

ハタこと
秦山祥一(ハタヤマ ショウイチ)。





関西出身で関西弁を話す彼も
超絶イケメンで運動神経抜群の

モテる男だったわけですが


実は今ではこのさっちゃんに夢中な彼氏さんだったりする。






…って、お持ち帰りされかけたって…?!







「昨日、圭斗が言ってたこと本当だったんだ…。」

「濱崎さんに止められて来なかったんだ?さすが濱崎さん。ユカリの大学の情報までちゃんと知ってるなんて…。」






と感心するさっちゃんの隣で
ハタもわぁお…と驚いている。




そして私たちは大学のキャンパス内へ入って行きながら

昨日の新歓の愚痴を聞く。





そして授業のある教室へつくと
ある1人の男の人がこちらに気づいて
立ち上がる。








「あっれー?
サヤカちゃんとショーイチくんじゃーん?」







その言葉を聞いて
2人は「げっ!」と言って私にすかさず耳打ちしてくる。







「ユカリ気をつけて!
あの人、テニスサークル長の槙田先輩。」

「サークル長…?」







そう言われた彼、槙田先輩と言われる男の人は
私たちの前までやってくると

ニヤニヤしながら
私たちに話しかける。







「昨日は大丈夫だったー?
彼氏くんがしっかりしてたから、平気だっただろうけど〜。」

「…まぁ、おかげさまで。」








そう言って冷たく鋭い視線で
先輩を睨むさっちゃん。

そんなさっちゃんに動揺せず
ハハッと笑う先輩。




(この人…チャラいなぁ…。)





槙田先輩と言われる男の人は

今時の服装をして
髪の毛は茶髪でワックスでセットされた髪型に

耳にはたくさんのピアス。



いかにも軽そうな男の人だった。





そう思いながら
私が彼を見ていると…







「…あ、君って確か昨日誘った時
この2人と一緒にいた女の子でしょ?」







と、不意に私に話しかけてきた。


突然で驚いて
思わずビクッと体を揺らす。







「は、はい…。」

「昨日は来てくれなくて残念だったなぁ〜。
今度飲み会やるから、その時は来てよー。」





とケラケラ笑いながら
私の肩に手を回す彼。




--------ゾッ!





私は気持ち悪くて
彼の手を跳ね除けようとした時







------ガシッ!






(え……。)







先輩の手を掴んで
やめろ、と払いのけたのは…







「…何だよ真樹。」

「やめとけ。…怖がってるだろ。」






そう言ったのは最初槙田先輩のいた男グループにいた
1人の男の人だった。


同じく茶髪ながら
槙田先輩とは違って
横暴そうな様子はなく、むしろ真面目そうな人だった。






「ッチ…はいはい。
ごめんねー、じゃあまた今度ね!」






そう言ってつまんなそうな顔をして
その人と元の席に戻っていく先輩達。


…何か、助かったかも。








「さすが逢沢先輩…
あの人はいい人だわぁ。」





そう言いながら感心しているさっちゃん。


逢沢真樹(アイザワ マサキ)先輩…。






私達は彼の姿を少し見てから
後ろの方の席についた。