学年だって、1度も重なってない。

入れ違いで入学してきて
濱崎の存在を知るはずもないのに



-----何で あいつと知り合った?






何であんな奴と
付き合おうだなんてことに……







(……"俺が良かった"なんて、今更考えても遅いけど。)







でももし俺が

少しでもユカリちゃんと会うのが早かったとしたら





今頃こんなこと 考えなくて良かったのかな。




ユカリちゃんに……あんな顔させなかったのかな。







そんなことを考えながら
少々落ち込んでいると

教授の挨拶で、授業が終わる。






俺は仕方なく立ち上がって
荷物を持ちながら教室を出た。







「…あ!逢沢先輩!
おはようございまーっす!」

「え…おぉ、祥一。」







ぼーっとしていると
不意に前方から祥一が歩いてきた。



次の講義がここらしい。



ってことはもしかしてユカリちゃんも…?
なんて思いながら祥一の周りを見てみるも、そこに姿は無かった。







「あ、ユカリなら今日3限からっすよ?」

「えっ……あ、そうなんだ?」

「はははっ!
先輩顔に出すぎっすよ!ユカリのことめっちゃ気に入ってますやーん。」







何の事情も聞いていないのか
祥一は明るく笑いながら俺の背中をパンパン叩いてくる。




気に入ってるって……まぁ間違いじゃないけどさ…。





俺が苦笑いをしながら
「まーな。」と返事をすると

祥一が「あ!」と声を上げる。








「でも先輩、ユカリはあかんっすよ!
すでにすっごい人と結婚しちゃってますねん!実は!」







祥一のそう言った言葉に
俺はピクッと 小さく反応する。


それに気づいているのかいないのか

祥一はそのまま言葉を続けて
俺に言った。








「ユカリのこと大好きなイケメンで
これがもぉ〜〜怒ったらめっちゃ怖いんですわ!マジでおっかないっすよ!」

「……濱崎圭斗のことでしょ?」

「あれ、知ってはるんすか?」







あ、そうか!濱崎さん先輩の2個上っすもんね!


と祥一が思い出したように言う。





どうやら、祥一もあいつと
何度か面会したことがあるらしい。



まぁユカリちゃんの親友だし、
結婚式なんかにも行ったんだろうけど。








「昨日もたまたま会ったよ。」

「あ、迎えに来てたんすか?
おぉ〜やっぱり溺愛やなぁ濱崎さんは〜。」







相変わらずラブラブで眩しいわぁ〜、と
祥一がヘラヘラと笑う。





そんな話をしている間に講義の時間が迫ってきて、祥一とそこで別れた。



俺は歩きながら
さらに少し顔を曇らせた。







(………今の濱崎がどうであれ、
俺はあの人が嫌いなのは変わらない。)







俺はあんな奴

絶対に認めない。