とりあえずハタと教室を出て

さっちゃんと合流するために廊下で待つ。




すると前から
見知った顔の人が歩いてくるのが見えて

私は思わずギョッとした。






(っ、え、逢沢先輩!!)






会わないと思っていた矢先に
この出会い。

会いたくないと思えば思うほど
会っちゃう原理って一体何なんだろう…。




そう思いながら
私はなるべく目が合わないように
ハタに隠れて視線を逸らす。


幸いなことに、あっちもまだ私たちに気付いてない。





(このまま通り過ぎて…!)






そう思っていたのに…







「お?逢沢先輩やないすか!」

「?!」






---思わぬところに敵。


私の目の前にいる
この秦山さんは

何と自ら彼に話しかけてしまったのです。




おかげで一緒に立ってる私まで気付かれて…







「おぉ祥一。
…あ、ユカリちゃんも。」

「あ…こんにちは、逢沢先輩。」





優しく微笑まれて挨拶をされ

私も少々改まって
笑顔で挨拶をする。


…さっき圭斗に言われたばかりだから

なんだか気が引けるというか
気にしちゃうというか…。





(何か理由があったとしたら余計に…。)






圭斗に詳しく話を聞けるまで

出来るだけ関わりは最低限にしたかった。




そう思ってる時に
ちょうどさっちゃんがこちらに着く。


逢沢先輩の後ろから
相変わらず美人な笑顔で駆け寄ってくるさっちゃん。






「ごめん遅れて!
…あ!逢沢先輩こんにちは。」

「どーも。」






さっちゃんも挨拶を終えて

それから少しハタと話してから
逢沢先輩は次の授業に向かって行った。






「じゃーね。」






そして別れる最後

皆に「じゃ。」と伝えて去る間際に
私の肩にポンっと手を置いて

そう言って行った逢沢先輩。




一瞬ビックリしたけど

昨日話してから少し打ち解けたしなぁ
なんて思って納得しながら

私も改めて会釈をした。






「…なんか逢沢先輩、今日少し気分落ちてたなぁ。」

「え、本当に?」

「おう。複雑そうな顔してたで。」





別になーんも言わんかったけどなー。


と ここでもまた勘の鋭い
発言を残すハタ。

これのおかげで私はまた

モヤモヤする材料が増えてしまった。





…もう本当に

皆してどうなってるの??