「圭斗…?」





私が隣の彼に声をかければ

圭斗は前を見て運転しながら
不機嫌そうに ん? と低く返事をする。



そんなに隣に先輩がいたの、嫌だったのかな…?









「怒ってる?」

「…怒ってない。」

「怒ってるじゃん。」

「…拗ねてるだけ。」







(へ……。)






やけに素直に自分の気持ちを言ってくる圭斗に
私は目を丸くした。

…珍しい。

自分が拗ねてることを私に言うなんて。





相変わらず厳つい見た目なのに

態度は段々と可愛さを増す圭斗に
私は思わずクスッと笑った。







「笑うな。」

「うっ!ご、ごめんー!」







圭斗はそう言って
笑う私の鼻をムギっとつまんでくる。

私がそう言えば
圭斗はパッと私の鼻から手を離した。







「…俺も同じ大学だったらなって
考えてただけ。」

「え…どうして?」

「どうしてって…
…もっとお前といられるからだろ。」







(--------!!)







その言葉に
私は顔を上げて 圭斗を見上げる。




圭斗は私を見ずに前を向いているけど

照れたような顔をして
片手で頬を掻いていた。





------ドクン、ドクン…






彼のそんな言葉と態度に
心臓を鳴らしながら

この幸せを、しみじみ実感する。









「私も 圭斗とずっと一緒にいたいよ。」

「っ…バカ、不意に言うな。」

「やだ。」

「お前なぁ…っ。」









私の言葉にさらに照れて
私を見てこら、と言う圭斗。


私が悪戯っぽい笑みで
反抗する言葉を言えば

圭斗は照れながら
嫌そうな顔をして








「そう言うやつには お仕置きだな。」

「へ……んっ!」








不意に信号で止まった車。


そしてその隙を見て
私にキスをしてきた圭斗に

私は反射的に 目を閉じた。








「っ…突然するのは、ズルい。」

「悪い子がいけねぇの。」







そう言って
今度は圭斗が悪い子供のような笑みを浮かべて


してやったり、とばかりに
ニヤッと口角を上げる。





うぅ…そんな顔してもかっこいいから
本当にずるい…!






私はそんな彼を軽く睨むけど
圭斗はそんなの気にならんという態度で

フッと笑って

また車を走らせた。