隣の家の桐生くん。

「双葉があんな状態になってるのにあのまま帰せるわけないでしょ。俺あの時ほんとに心臓止まるかと思ったもん」





「人のことを幽霊みたいな言い方して……」





確かに人のいるはずのない体育倉庫に膝を抱え込んで座る少女がいたら驚くのは当然だが、少しだけへこむ。





「いや、そういうわけじゃないけどさ。だっているはずがないじゃん、もう帰ったと思ってたから」





「そうだけど……でも私のことなんか放っておけばいいのに」





そもそも私なんかのためにためにここまでしてくれる意味が昔からずっとわかっていなかったのだ。






昔桐生くんに一生かけて返してもらうような恩を作った覚えはないし、隣の家というだけだ。