美咲が帰ってから数時間後、担当医の先生が入ってきた。




「神崎さん。お友達から聞いたけど、本当に手術を受けなくてもいいのかい?」

「はい。花吐き病になってから辛い事の方が多いかもしれません。でも、それより前の楽しかった思い出を忘れたくはありません」

「そうか。ただ1つだけ言わせてくれ。君が花吐き病になっている事を彼は知っているかもしれない」

「えっ?!」

「彼が来た日に君は吐いてしまっただろ?その時に医師同士の話を聞いていたかもしれないんだ。本当に彼本人かは分からないがその話をした時に物音がしたんだ」

「そうですか…」




 もし知ったとしたら龍斗のことだから気を使って付き合ってくれるかもしれない。


 でも私はそんな結果を望んでいない。


 だから花吐き病は治らないだろう。


 そうしたら余計に龍斗を傷つけてしまう。


 私はどうすればいいんだろう?