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午前中の授業も終わった昼休み。
何故か集まってきた勇樹と要に奈々は眉を吊り上げた。

「なんで、あんたたちが来るわけ?」

「や。だって俺、聖美に弁当作ってもらう約束してるし?」

「俺は、勇樹のお目付け役だし?」

勇樹と、その親友で悪友の要の解るようで解らない言い訳に、聖美は笑いながらも肩を竦める。

「たまにはいいよ。賑やかで」

聖美が宥めるように言うと、奈々は二人を指差しながら詰め寄った。

「一度許すと、とことんずうずうしいのよ! 特に要!」

「え? 何。お前ら仲良かった?」

聖美の隣に椅子を持ってきながら勇樹は首を傾げ、奈々はキッと勇樹を振り返り、要を指差した。

「こいつとは隣の家よ!」

「え? でも小学は一緒じゃなかったよな?」

「学区がちょっと違ったんだ」

騒ぐ彼女の剣幕を気にした様子もなく要が答え、パンを片手に目の前に座ったので、奈々は諦めたように溜め息をついた。

そうなんだ。知らなかった。聖美はそう思いながら、持ってきたお弁当の包みをカバンから取り出す。

父親の弁当箱は大きくて、鞄の中で少し斜めになっていた。