「ごめんね? ちゃんとメール返さなくて」

「や。いいけど。あんな返事じゃ駄目だった?」

ズバリと聞くと、聖美はちょっと赤くなった。

あれ? OKだったって事か?

「は、はず」

「はず?」

「恥ずかしかった」

聖美は足早に歩き始める。

それを追いながら、勇樹はちょっと苦笑した。

『すべて。』

確かに恥ずかしい文面かもしれない。
ただ、小学校うんぬん、や、笑顔うんぬん、よりは恥ずかしくなかった。

「照れた?」

ニヤニヤしながら聞くと、聖美は頭の上を手で払うようにパタパタとさせる。

「嬉しかったんだと思う」

「なんだよ、思うってのは?」

「や。初めてで」

「ふぅん?」

小さな声で呟く聖美に、勇樹は内心では快哉を叫びながら、表面上は何気ない風を装う。

「私こそ、変なメールごめん」

その言葉に勇樹は目を丸くした。

「あれじゃねぇ? そういうこと聞くのは、つき合ってる特権ってヤツじゃねぇの?」

「そ、そうなのかな?」

「たぶん。私のどこがいいの~とか、私のこと好き? まで、いろいろとレパートリーはあるだろうけど」

「そ、そうか!」

つっかえつっかえ話している聖美の照れた顔が可愛らしかった。

なので、余計にからかってみたくなる。