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メールの着信音にガバッと起き上がりスマホ画面を開くと、聖美からのメールがやっと来た。

内容を読んで溜め息をつく。

「そうだな。あの小姑が黙ってるはずないもんな」

奈々を少しけなして、弁当の中身は何がいいか聞いてくる聖美に微笑んだ。

さりげなく気を使うところも、聖美のいいところだと思う。

ただ、運動会や遠足くらいしか弁当を作ってもらったことのない勇樹に、中身を何にすれば? という問いは答えにくかった。

だから、なんとなくいなり寿司と入力して送信する。

するとすぐに聖美から返信が返ってきた。

【さすがにお稲荷さん用の揚げ買ってないから、それはむりです。あさってならOKです。エビフライはスキですか?】

それならスキだ。というか、えびを使ったものも大好きだ。

それよりも嬉しいのは“あさって”も作ってくれる気らしい、ということ。
ちょっと喜んで、ありのままを返信する。

そして、返ってきた返信に固まった。

【質問。私のどこが好きですか?】

え。答えるんですか?

1.実はもしかしたら、小学の頃から好きだったんです。とか。

2.そのほんわかした空気が癒してくれるんです。とか。

3.その笑顔をみてたいんです。などと、正直に答えろと?

勇樹は冷や汗を流しながら、メールの画面を凝視する。