「でも、謎だよね」

『何が?』

「話したこともほとんどないのに、どうして私がスキだって言えるんだろう?」

『んー……。まぁ、そこら辺の微妙なトコは本人じゃないとね。今度聞いてみれば?』

「えー……」

『じゃなくて、聞かないとそのままで、気がつけばそよ~っと流されるだけでしょうが?』

お互いに笑いあう。

『とにかく、明日、担任に怒られんのは覚悟しておきなさいよ!』

「あ」

『HRで杉浦、あんたのこと捜してたんだからね!』

「あー……。がんばる」

『頑張りなさい』

それから、その後のクラスの騒ぎぶりを奈々は面白おかしく話してから通話を切った。

明日担任に怒られるのは嫌だな、と思いつつも、聖美はそんなに気は重くならない。

一人じゃない。ちょっとそれが支えになった。

ニコニコしながらベッドの上をごろごろしていたら、メールの着信音にスマホを見る。

【送信者 不明 件名 何で携帯話中なの?】

誰だろうと起き上がって本文を眺めて、慌ててベッドに正座した。

【夕飯ごちそうさま! すんげぇうまかった。弁当楽しみにしてるな。】

聖美は勇樹のメールと番号を、まだきちんと登録してなかったことを思い出し、急いで登録して返信を入力する。