奈々にはけなされている勇樹ではあるが、決しておサルではない。

どちらかというと長身で、整った顔をしている。

その上、運動部であれば、さぞかしモテる事だろう。

『……って、あんた、何を感心してるのよ』

「や。だって」

『どっちにしろ。あんた、気をつけなさいよ?』

「気をつけるの?」

『木村狙いの女子だって多いんだから。いじめられないでちょうだいよ?』

奈々はそこが心配だったらしい。

親友というものが、とてもありがたく感じる瞬間でもある。

「大丈夫。心配しないで」

『本当~?』

「うん」

『ま、何かあっても、奈々様がどうにかしてやる!』

聖美はとうとう大きな笑い声を上げた。

「ありがとう」

『まったくだ。で、二人でサボって何してたのさ』

「うん。家に来てた」

ややしばらくの間、奈々が黙り込む。

『あんた、もしかして………』

「ん?」

『あげちゃったとか? まだ付き合って間もないでしょう?』

「うちにはあげたけど?」

『違うわ! もうしちゃったのかって聞いてんの!』