「お前って、まじめな主婦なんだな」

「や。まだ高校生だし」

聖美は精一杯厳しい顔で指摘すると、勇樹は笑った。

「なんか、やっぱりお前、いいな」

「え?」

「和やかな雰囲気で、やっぱりいいな」

「そうかな?」

「そうだよ」

勇樹はにっこりして、聖美の頭をくしゃっと撫でた。

「可愛い」

はにかみながら言われ、聖美は顔を真っ赤にして無言で歩き出す。

そんな事を家族以外に言われたことがない。

「照れるなって」

「照れてないもん」

「照れてるって」

「違うもん!」

鶏肉を物色しながら聖美は俯いた。

俯きながらも勇樹を横目で見て、お菓子コーナーを見ている勇樹に気がついた。

「もしかして、勇樹くんはすごく甘党?」

「んぁ?」

「勇樹君て、すごく甘党?」

勇樹は少し照れくさそうに頭をかく。

「男が甘党で悪いか?」

聖美は首を振って小首を傾げる。

「クリスマス。ケーキでいい?」

「え?」

「プレゼント。ケーキでいい?」