73億分の1の純粋な感情

買い物に行くふりをして屋上に来ていた俺は、フェンスに掛けた手に額を乗せながら零れそうな涙と必死に格闘していた。



「ゴメン、芽依子サン。俺、ただ今ハートブレイク中。そっとしといて」



しかし俺の願いも虚しく、すぐ隣で膝をつき、ニッコリと満面の笑みを浮かべた彼女は、泣き顔を見せろと言わんばかりにズイッと顔を近づけてきて。



「嫌です」



「お願い、芽依子サン…」



「嫌です」



「お願い…します」



「無理です」



「………っ!!」



「キャッ!!」



あまりのしつこさに柄にもなくイラついてしまった俺は、彼女の顔を両手で挟むと、怒ってるんだぞと言わんばかりにズイッと顔を寄せた。