彼女を目の前に、正直、ため息しか出ない。



でも、“好き”だと言われた瞬間、笑顔を向けられた瞬間、ほんの少しだけ胸がくすぐったいような、ムスムズする瞬間が、あるような…気がする。



それが、また……うん。結構複雑、というか、なんというか……いたたまれない気持ちになる。



彼女には可哀想だが、俺は未だに葉月が好き。



俺は間違いなく彼女越しに葉月を見てる。



彼女が時折見せる悪戯な笑みは葉月そっくり。



だから俺は言われるがまま彼女の手をとってしまう。



まったく、血の繋がりというものは恐ろしい限りだ。