73億分の1の純粋な感情

「芽依子…サン?」



「はい?」



「それは…えーっと、俺が顔が残念なメンズだと言いたいので、ショウ…カ?」



「へ?」



開いたままのノートパソコンのキーボードの上に額をくっつけ、ほんの少し涙を溜めた瞳で彼女を見る。



クリッと大きな瞳を少しだけ見開く姿は、姉であり、俺の思い人である葉月そっくりだが、彼女は葉月ではない。



彼女の方が15cm程髪が短い。



「そんなことないですよー。先輩、不細工じゃないですもん。ただ、メガネが似合わないだけで」



「………ソウデス…カ」



「特別恰好良くも無いけど、特別不細工でもないです。普通です」



「………ソウデス…カ」



「でもそんな先輩が、あたし、大好きですから」



「………アリガトウ…ゴザイマス」



「どういたしまして」



ニッコリと微笑んだ時に出来るえくぼは葉月と同じだが、彼女は葉月ではない。



残念ながら彼女の方が胸が小さい。



心の声が口に出ようものなら、「どこ見てんだ!!オイッ!!」と、ど突かれそうだが、さっきから薄いピンクの下着と薄めの谷間が丸見え。しかも、「先輩は可愛いから大丈夫です」と、頭をヨシヨシと撫でてくるものだから、その距離は更に近くなる。



「見えてますよー」と言いたいとこだが、セクシャルハラスメントで訴えられるのはさすがに嫌だ。



それに俺は健全な高校男児。



なのでここは黙ったまま、「ビバ6月!!衣替え万歳!!」と、心の中でガッツポーズしながらその白い肌をガッツリ拝ませて貰うことにした。