「伊達…ね…。……ハッ!」



「なっ、ナニ…カ?」



ビクッと肩を震わせる俺の顔を覗き込み、鼻で笑う彼女。



こういう時の彼女は間違いなく毒を吐く。



ココロのHP100の俺に、一気に70近くのダメージを与えてくるはず。



だから俺は、心の中で防御の体制を取る。



肉食獣からUMAへと格上げした彼女相手に、鎧ナシの体1つで構えるのは無謀だと言えなくもないが、何もしていないよりかは幾分かマシ。



それもこの1ヶ月で学んだことだ。



「確かにメガネ男子ってちょっと良いと思います」



「はぁ」



「メガネという素敵アイテムを加えることで、賢さと色気を存分に醸し出せると思います」



「はぁ」



「メガネの似合う男は本当に格好いいと思います」



「はぁ」



「でも、」



来る!!



心の中のバーチャル海斗は、顔の高さに上げていた両腕に力を込め、より一層ガードを固くした。



「格好いい人はメガネなんか掛けなくても格好いいんです。残念な人はメガネを掛けても残念なんです。先輩、全然分かってないです」



「………」



バーチャル海斗 HP1。



毒舌と言う名の一撃がガードを突き破りクリティカルヒット。



瀕死状態。



………あぁ、本当に彼女は恐ろしい。