遠い目をしている雪を、悲しそうな顔をしている雪を、これ以上見てられなかった。



でも、今雪を一人にしたら、雪が壊れてしまいそうで……。



柱の陰に立って、雪の様子を伺った。



そしたら、雪がーーー



ーーー「好きだよぉ…っ…」って、辛そうに、悲しそうに呟いた。



その言葉が、頭から離れてくれない。



『好きだよ』



ーーーなら、どうして別れようなんて



雪の考えてる事が分からない。だけど、儚くて今にも壊れそうな雪を、抱きしめたくなって、柱の陰から出た。



だけど、そこで俺の足は動かなくなった。