今目の前には、息を切らした雪の姿。雪の瞳は、迷いの色が浮かんでいた。
その瞳は、俺に縋ってるようにも見えた。『どうした?』そう、声を掛ける前に、雪が言った。
「蒼斗、別れよう」
そう、言ったんだ。戸惑った。ほんの少しだけ。
だって、雪は俺のことが好きで。なのに、別れよう?何で?
聞きたい事はあった。でも、考えてみたら、分かった。
今までの日常を振り返ってみたら、俺ら、一つも恋人らしいことしてないしな。
手も繋いだことないだろ。そうか、きっとこの関係が嫌になったんだ。
それと同時に、俺の事も、嫌いになったんだな。