「 っていうか何でほんとにレモンの味がするんですか! 」


まだ少し感触の残る唇に顔がポーッと熱くなる。そんな興奮状態の私とは正反対で当の本人は「 味見したから 」 とぶっきらぼうに答えた。


「 あーなるほどっ! って違う! 」

本来の趣旨とは外れていく会話と、どうしても鳴り止まない鼓動に我慢できなくなった私は「 ごちそうさまでした! 」 と勢いよく立ち上がり玄関へと進む。

「 怒ってんの? 」

「 怒ってません! 」

その後を気怠そうにパタパタとスリッパを引きずりながらついてくる響さんに、

「 この責任はとってもらいますからね!! 」

と一言残し「 おじゃましましたっ! 」 と勢いよく飛び出した。