ここがどこなのかという疑問も、” 試作品 ” という言葉にすっかり消し飛ばされ私は待てをさせられている犬のように、チンっ、と止まったフロアを悠々と歩く響さんの後ろをルンルンと着いていく。


「 そこ座ってて 」

お洒落な玄関だなーとか、広いリビングだなーとか、自動で電気が付くのか!ハイテクー!などという月並みの感想もさておき、私は大人しく広めのソファに腰を下ろした。

「 あの! 聞いてもいいですか! 」

「 その前に声のボリュームを下げろ 」

「 あっ、はい!!そのですね! 」

「 ‥‥‥聞いてねーし 」


そして、カウンターキッチンの向こうに見える響さんの行動にソワソワしながら、「 新しいスイーツのヒントを教えてくださいっ! 」と意気揚々に聞いてみた。