2人が亡くなる前に"笑顔を忘れないで幸せに生きてほしい"と伝えてって両親から麻衣さんが受け取ったらしい。それを麻衣さんから渡されたんだ。」
「そんなことが…。」
それからしばらくしてお兄ちゃんは帰った。
そして藤沢先生から10日間昏睡していたこと、一時は心停止までに陥ったこと、聞かされた。
でも、何も思い出せない。
だけど、唯一ひっかかっていることがある。
昏睡していた時なのかな。
誰かが私に謝ってるような…。
夢か現実かは分からない。
あの時、誰が私に謝っていたのか知りたい。
私はそう感じていた。
翌日。
ノックが鳴り、扉が開く。
1人の男性だった。
「あの、もしかして涼也……ですか…?」
すると涼也はゆっくり力強くうなずいた。
「どうして俺だって?」
「お兄ちゃんから涼也のこと聞いてるからなんとなくそう思ったの。」
