もちろん、涼也たちのことも。
スタッフステーション。
「CT、MRIともに異常はありませんでした。」
上重先生が報告する。
「昏睡からのショックですかね…。」
水野先生が言った。
「おそらくそうだな。一時的なものだろうけど、治る目処は分からない。」
藤沢先生が言った。
数時間後。
このことは藤沢先生から涼也とお兄ちゃんに伝えられた。
「記憶喪失…?」
涼也が言った。
「どういうことですか?」
お兄ちゃんも続いて言う。
「舞梨奈ちゃん自身の名前、今いる場所、日付以外は何も思い出せないらしい。CT、MRIともに異常は見られなかった。昏睡のショックによる一時的なものだろうけど、治る目処は今のところはっきりと言えない。すぐ治る患者さんもいれば、何ヶ月もかかる患者さんもいるんだ。舞梨奈ちゃんの記憶をいち早く取り戻す為に、君たちの力が必要なんだ。今、舞梨奈ちゃんを支えてあげられるのは、君たちしかいないんだ。」
藤沢先生は優しく言った。
